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解決事例

賃貸借・建物明渡・登記

ケース1:賃貸借・建物明渡
所在不明となった賃貸人に対してアパートの一室の明渡しを実現したケース

 

1 当事者

依頼者:アパートオーナー
相手方:元賃借人(所在不明)

 

2 紛争に至った経緯

依頼者はアパートの一室を賃貸していたが、賃借人が賃料を滞納した上、所在不明となってしまい、荷物が残されてしまって困っている。

 

3 解決に至る経過

賃借人が家賃を滞納し、一方的に荷物を残して出て行ってしまった場合、賃貸人(大家)が勝手に賃借人の荷物を処分してしまうと、後日、損害賠償請求されたり、場合によっては窃盗・横領等の罪を問われかねない。
適法に処理するため、賃料滞納による賃貸借契約の解除に基づく建物の明け渡しを求める訴訟を提起し、勝訴判決を得て、裁判所の執行官立ち会いの下、強制執行によって建物の明け渡しを行った。

 

4 委任事務処理上の工夫

相手方が所在不明となってしまったため、まずは住民票を異動していないかを調査。住民票が異動されていなかったため、戸籍謄本等を取得して、親族にも所在調査の通知を送ったが回答がなく、所在不明として訴訟を提起。公示送達(相手方が所在不明の場合の手続)を経て勝訴判決を得た。所在不明であることの調査報告を丁寧に行うことでスムーズに手続が進行した。

ケース2:建物明渡
親から自宅敷地の明け渡しを求められ、敷地を買い取る和解が成立したケース

 

1 当事者

依頼者:建物所有者(子)
相手方:土地所有者(親)

 

2 紛争に至った経緯

両親が離婚し、両親とも自宅を出て行き、依頼者である子がそのまま居住を続けていた。その後、依頼者は父親名義の建物については父親から贈与を受けたが、自宅敷地所有者が相続により祖父から母親となった。母親から土地の明け渡しを求める訴訟が提起された。

 

3 解決に至る経過

使用貸借が成立し、明け渡し請求が認められない旨主張したが、母親と依頼者の関係がこじれてしまっていたため、使用貸借が認められても根本的な解決とならないことから、敷地の買い取りを提案。約3年半にわたる審理・折衝を経て買い取る内容の和解が成立。

 

4 委任事務処理上の工夫

使用貸借の立証のため関係者から聴き取りを丁寧に行い、紛争の実情を裁判所に示すことで裁判所による和解調整を図った。

ケース3:不動産登記
  土地の登記名義につき取得時効を原因として依頼者の所有名義に変更することが認められたケース

1 当事者

依頼者:当該土地の占有者(使用者)
相手方:当該土地の所有権登記名義人(十数人の共有。一部所在不明・一部名義人の相続人)

2 紛争に至った経緯

依頼者は、先祖代々当該土地とその隣接する所有地を使用し、固定資産税も支払ってきた。当該土地の登記名義は十数人の共有となっており(依頼者は共有者となっていない)、登記も表題部(土地の表示)だけで、「所有者 持分○分の1○○(氏名)、○分の1○○(氏名)」と記載されているのみで、権利部(甲区)(所有権に関する事項)の記載がなく、共有者の住所も記載されていない。長年使用し固定資産税も支払っているので依頼者を所有者とする登記に変更できないか。

 

3 解決に至る経過

不動産登記上は共有者の住所が記載されていなかったが、固定資産税の納入の案内には共有者の住所(ただし大半は当該土地が住所とされており、実際の住所は不明)が記載されていたため、弁護士が住民票等を調査。一部の名義人については所在が判明したが、既に逝去していたため、相続人の所在を調査(現地調査を含む)。
調査をもとに、取得時効を原因とする所有権登記の名義変更を求める訴訟を提起。所在が不明な相手方については公示送達(相手方が所在不明の場合の手続)、所在が判明した相手方(名義人の相続人)については通常の送達手続によって訴訟手続が進行され、争いがなかったため審理は1回で終了。登記の変更を命ずる判決を得て、登記を変更した。

4 委任事務処理上の工夫

当該土地は元々はその地域に居住していた共有者らが共同で利用していたものが(そのことから登記簿が編成されたとき、共有者として記載)、共有者らも転居等で当該土地を利用することもなく所在不明となり、依頼者の先祖が当該土地の隣地等を買い受ける際、当該土地も買い取ったが登記名義が移転できなかったものと推察された。
他方で、関係者の数が膨大であること(元々共有者の数が多かったうえ、共有者の相続人も複数となったため)、権利部(甲区)の記載がなくいずれにせよ訴訟・判決を経なければならない見込みであったこと、名義人の相続も関係することから、所在が判明した名義人の相続人と個別に交渉しても容易に解決できず、逆に登記名義人の相続人に負担になると考えられた。
以上から、円滑かつ速やかに手続を進めるため、突然訴訟を提起するのではなく、訴訟提起前に、上記事情や固定資産税を支払い続けてきたこと、登記名義の変更には訴訟を提起せざるをえないことを事前に手紙で知らせ、関係者の理解を得るようにした。
また、権利部(甲区)の記載がない珍しい類型の登記請求であるため、事前に司法書士にもチェックしてもらい、判決により問題なく登記できることを確認した。

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